最近、「経理の仕事は簿記を知らなくても全く問題ない。」という話を聞きました。
確かに簿記を知らなくてもExcelを使ったりPowerPointで資料を作成するだけなど簿記を知らなくてもできる仕事はあるかもしれません。
今回は、簿記の知識が経理実務でどのような役に立つのか
また、簿記の知識がなくてもできる経理実務の仕事についてまとめていきたいます。
簿記の知識がないと経理で困ること
経理の仕事は、企業の経営活動に関するすべての事象に対するお金を記録・計算・整理することがメインです。
お金をもらったら収益、お金を払ったら経費などといったように、一定のルールに基づいて該当する科目に記録をしていきます。
簿記の知識がないと、この一定のルールに関する認識をしにくいということから、科目の振り分けでつまずくことが考えられます。
従業員が取引先へ訪問するために立て替えた電車代300円があったとします。
(電車代を立替えた日:3月28日 従業員へ立替え金を支払う日:4月3日)
企業は従業員からの経費精算書の提出をもって、電車代の認識と従業員が立て替えた経費の支払を行います。
この場合
3月28日⇒(借方)旅費交通費300/(貸方)未払金300
4月3日⇒(借方)未払金300/(貸方)現金預金300
と、2つの日付ごとに上記の仕訳が発生します。
しかし、簿記の知識がなければ、以下のような仕訳を切ってしまう可能性があります。
3月28日⇒(借方)旅費交通費300/(貸方)現金預金300 など…
上記のような誤りをしてしまうことや、B/SやP/Lの科目の区別がつかずに間違えてしまうことが結構あるのです。
私が以前勤めていた事業会社の経理では、簿記初心者が仕訳を切りこの仕訳のチェックを誰も行っていなかったために、後日修正を何件も行っていました。
また、会計システムの性質上B/S科目に消費税が自動でついてしまい、入力担当者がこれに気がつかず消費税が誤った集計になってしまうこともありました。
簿記を全く知らないで入力を行っていると、この仕訳はおかしいという感覚がないため結果的に間違うことが多くなってしまいます。
そうなってしまうと、入力し直すことや別の人が入念にチェックすることによって本来使わなくても良いハズの時間やコストが掛かってしまい、効率性にも欠けてしまいます。
新入社員や未経験の中途入社社員を雇う余裕のある企業であれば、こういった時間も人材育成という意味では必要かもしれません。
しかし、即戦力を求めているというのがあるのならば、簿記の知識は必須となります。

簿記を知らなくてもできる経理実務もある

上記では、仕訳入力の際にある程度自分で勘定科目や消費税区分を考えて会計システムなどへ入力する時のお話をしました。
ですが一方で、仕訳入力などの自動化が進んでいる会社では、知識がなくてもExcelなどに一定の数字を入力し、取り込み作業を行うだけで仕訳が自動作成されることもあります。
その際には、仕訳の知識がなかったとしてもExcelや一定の数字のチェックがきちんと出来ていれば経理の仕事は出来ます。
また、取引先ごとに買掛金や未払金、売掛金などをExcelベースで管理していることもあり、こういった管理表の更新作業のみであれば簿記の知識はほぼ必要ありません。
Excelを頻繁に使用する企業では、簿記の知識よりもExcelの関数やピボット・マクロが使えるかの方が重視されることもあります。
まとめ
Excel重視であったとしても、結果的に業務の幅を増やすためにも簿記の知識は必要です。
企業によっては、簿記2級取得を必須条件としているところもありますし、合格した級によって、資格手当が付く企業もあります。
履歴書にも書くこともできますし、3級であればおよそ4割の人が合格する試験なので今後の仕事の幅を広げたり、お給料を増やす手段の一つとしても魅力のある資格だと思います。
3級・2級であれば、6月・11月・2月の年3回もチャンスがあるので、一度受けてみるとこれまで見えてこなかった会社の数字を見て意識することが増え、自分の仕事の仕方や生活の仕方に変化が生じてくるかもしれません。
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