アスクルといえば、会社勤めの人であれば事務用備品等の発注で使用したことがある人は多いのではないでしょうか。
2017年2月に物流倉庫で火災を起こした前期では、火災損失が112億5千万円も計上され最終的な当期純利益がガクッと下がっていました。
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アスクルHP業績関連より引用
そんなアスクルは、1年でどれほど業績が変化したのか見ていきます。
◇目次◇
アスクルの企業情報
アスクル株式会社(英: ASKUL Corporation)は、東京都江東区に本社を置く事務用品を中心とするソフトバンクグループ系列の通信販売会社。
ヤフーの連結子会社であるが、かつては事務機器メーカープラスの子会社であり、同社のプライベートブランドはプラスの製品が多い。
アスクルの財務諸表
下記は、平成30年5月期の決算短信から一部を抜粋したものです。
総資産は前期よりも増加していますが、営業利益から経常利益は前期の方が上回っています。
しかし前期は火災があったため、特別利益で受取保険金が49.29億円上がっていますが特別損失で112.5億円の火災損失が計上されています。
更に、今期で特別利益として火災損失引当金の戻入れが68.45億円計上されているため、最終的な利益は今季の方が上回る結果となっています。
また、決算日が5月20日となっており非常に珍しさを感じています。
アスクルの財務分析
安全性分析、効率性分析、収益性分析、成長性分析の4視点で見ていきます。
アスクルの安全性分析
安全性分析では、流動比率と固定比率を見ていきます。
アスクルの流動比率
流動比率=流動資産÷流動負債×100%
⇒129,566÷86,938×100%=149.03%
150%近くもあるため、短期支払い能力については問題なさそうです。
アスクルの固定比率
固定比率=固定資産÷自己資本×100%
⇒44,147÷49,344×100%=89.47%
固定資産についても、自己資本で賄えているため安全性については安心して大丈夫と考えられます。
アスクルの効率性分析
効率性分析では、棚卸資産回転日数と総資産回転数について見ていきます。
アスクルの棚卸資産回転日数
棚卸資産回転日数=棚卸資産÷売上高×365日
⇒14,188÷360,445×365日=14.37日
さすがアスクルです。大量の数の商品を取り扱っているにも関わらず、15日を切る回転日数を誇っています。
アスクルの総資産回転数
総資産回転数=売上高÷総資産
⇒360,445÷173,713=2.07回転
こちらも総資産に対して目安である1回転の倍以上の売上を上げており、効率的に営業が出来ていると判断できそうです。
アスクルの収益性分析
収益性分析では、各売上高利益率と自己資本利益率(ROE)について見ていきます。
アスクルの売上高利益率
当期利益率 | 前期利益率 | |
売上総利益率 | 23.73% | 22.85% |
営業利益率 | 1.16% | 2.64% |
経常利益率 | 1.09% | 2.64% |
税引き前当期純利益率 | 2.33% | 0.65% |
税引き後当期純利益率 | 1.30% | 0.31% |
アスクルの自己資本利益率(ROE)
ROE(自己資本利益率)=売上高当期純利益率(税引き後当期純利益÷売上高)×総資産回転数(売上高÷総資産)×財務レバレッジ(総資産÷純資産)
⇒4,702÷360,445(売上高利益率)×360,445÷173,713(総資産回転数)×173,713÷49,344(財務レバレッジ)
⇒1.30%(売上高利益率)×2.07回転(総資産回転数)×352.04%(財務レバレッジ)
=9.53%
総資産回転数と財務レバレッジが特に多いため、日本国内の目安である8%は超えています。
アスクルの成長性分析
成長性分析では、売上高伸び率と総資産伸び率についてみてきます。
アスクルの売上伸び率
売上高伸び率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100%
⇒(360,445÷335,914)÷335,914×100%=7.30%
営業利益率は前期の方が上回っていますが、売上高自体は今期の方が上回っています。
アスクルの総資産伸び率
総資産伸び率=(当期末総資産-前期末総資産)÷前期末総資産×100%
⇒(173,713-155,678)÷155,678×100%=11.58%
火災損失引当金は前期でなくなりましたが、特に借入金やリース債務の増加に伴って総資産自体は増加しています。
アスクルについてまとめ
アスクルについて、昨年の火災の影響で今期はマイナスになっているのかと思い数字を見てみましたが、大きく問題となりそうな点はないのかなと思える結果となりました。
それだけ、日常的にアスクルの発注が利用されておりなくてはならない会社となっているのかなと感じています。
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