企業が成長することは、投資家にとっても経営者にとっても欠かすことのできないポイントですよね?
逆に言えば企業が成長しなくなってしまうと、投資家も配当の見込みがなくなったり企業自体に飽きて離れてしまいます。
それによって資本が集まりにくくなり、今までの経営ができなくなり、企業規模は縮小、最終的には倒産といったことに陥ります。
企業が成長していこうとしているのか、成長性分析をすることによって数値面からの情報を収集することで、これを確かめていくことができます。
今回は、売上面と資産面そして人員面の3視点をご紹介します。
P/L面でみる企業の成長性
企業の成長性は、主に同社の前年対比で見られます。
また、同業他社比較として伸び率が高い方を見つけるといったことも有効です。
P/L面から見る成長性は、主に売上高と利益額のそれぞれ同年と前年の差から判断します。
売上高伸び率
売上高伸び率=(当期売上高–前期売上高)÷前期売上高
ここでプラスが算出されると前年より売上は増加しており、成長していると判断できます。
利益伸び率
本業での経営成績の伸びをみるのであれば、営業利益や経常利益から算出することが望ましいと考えられます。
利益伸び率=(当期利益–前期利益)÷前期利益
当期純利益で比較をすると、通常の経営活動以外の要因である特別利益・特別損失の影響も加わってしまい、本業での成果としての伸び率を判断することが難しくなってしまいます。
ただ、企業の長期的な成長を見るということであれば、当期純利益での比較も効果的であると判断されます。
利益増加率も、プラスが算出されれば前年よりも成長していると判断されます。
B/S面で見る企業の成長性
B/S面での成長性は、資産がどのくらい増加したか(=企業規模が拡大)で判断します。
P/L面と同じく、算出したものがプラスとなれば前年よりも成長したと考えます。
しかし、B/S面では、不良債権や過剰在庫がある場合にもプラスとなってしまうため、利益増加率や負債比率などと一緒に見ることが必要です。
総資産伸び率
前年度の総資産からどのくらい今年度の総資産が増加したかを見る指標です。
総資産伸び率=(当期総資産–前期総資産)÷前期総資産
単純に企業規模の拡大がどれくらいかを見る分にはこちらの指標でよいのですが、他人資本である負債(借入金など)も含まれています。
そのため、本当に拡大しているのかを判断するためには次の自己資本増加率を見ることが必要となってきます。
自己資本伸び率
企業が借り入れにかかわらず自己の資本がどのくらい増えたかを示すのがこの指標です。
自己資本伸び率=(当期自己資本–前期自己資本)÷前期自己資本
自己資本が増加をしていれば、投資家への配当の増加や、さらなる企業規模拡大のための投資資金として将来使用される可能性も考えられます。
また、自己資本増加額が総資産増加額よりも伸びていれば、それだけ借入金などの他人資本の割合が減っているということで、安全性の面でも良いと判断できることとなります。
従業員数で見る企業の成長性
最後に、企業の従業員数から成長性を見ます。
従業員伸び率=(当期従業員数–前期従業員数)÷前期従業員数
企業が成長をしていく中で、これに伴って従業員数も拡大されるのは通常なら考えられます。
しかし、現在はAIの進化が凄まじく、これまで人の手で行われていることがある程度はAIで自動化されることが想定されます。
となれば、現在は「従業員が増加していれば成長している」とされている従業員増加率も、将来的には「従業員数が減少していても効率的に利益を上げて企業規模が拡大できている」企業のほうが評価される時代が来るかもしれません。
まとめ
企業の成長性は、同社の前年対比をすることによって見ることができるものがほとんどです。
しかし、働き方改革やAIの進化などで企業の在り方も今後ますます変わってくることが予想されます。
その時に、財務分析の指標の在り方も変化することも考えられます。
どんな形で変化していくのかを楽しみながら、企業の数字を追っていきたいですね。
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