こんにちは!
近年SNSの発達によっていつでもどこでも写真や動画がネット上にあげられる世の中となりました。
これに付随して、ネットリテラシーの低い人たちによる不適切動画も頻繁に上げられることによって、企業に悪影響を及ぼしてしまうという悲しいニュースも増えました。
大戸屋もその犠牲企業のうちの一つで、全国店舗で一斉に1日休業をすることなどを公表し、実行されていました。
2019.3月期の財務諸表は、これを含めてどのような結果となったのでしょうか。
財務分析をしていきたいと思います。
◇目次◇
2019年3月期大戸屋HDの財務諸表
下記は、2019年3月期㈱大戸屋HDの決算短信から抜粋した財務諸表です。





前期と比較して、営業利益の減少や減損損失が目立ちます。
このあたりが不適切動画による影響のうちの一つと考えられます。
2019年3月期大戸屋HDの安全性分析
安全性分析では、流動比率と自己資本比率、固定比率についてみていきます。

大戸屋の流動比率
流動比率 | |
2019年3月期 | 161.1% |
2018年3月期 | 121.6% |
短期支払い能力については、前期よりも安全性が高まっていますね!
大戸屋の自己資本比率
自己資本比率 | |
2019年3月期 | 46.7% |
2018年3月期 | 49.3% |
自己資本比率は、長期借入を行ったことや利益剰余金の微減などから割合が少なくなってしまっています。
不適切動画が露見する前から営業利益は全機を下回っていたため、これだけが要因とは言いづらい感じですね。
大戸屋の固定比率
固定比率 | 固定長期適合率 | |
2019年3月期 | 123.8% | 78.7% |
2018年3月期 | 116.9% | 88.8% |
固定比率については、目安の100%を超えてしまっていますが、固定負債も含めた固定長期適合率では固定資産を賄えている結果となりました。
やはり、フランチャイズも多くあるとは言え、全国的に店舗出店をし続けている場合には固定資産はどうしても膨らみがちで、自己資本のみで賄えるようになるためには時間がかかってしまうようです。
2019年3月期大戸屋HDの効率性分析
効率性分析では。棚卸資産回転日数と総資産回転数についてみていきます。

大戸屋の棚卸資産回転日数
棚卸資産回転日数 | |
2019年3月期 | 2.1日 |
2018年3月期 | 2.2日 |
大戸屋といえば、新鮮な材料を使用して基本的にレンジ調理をすることがありません。
そのため、在庫として保管されるモノは少なく、このような結果となりました。
サバとかほっけなど、炭焼きで美味しいものを提供してくれるのが魅力のうちの一つですよね~!
大戸屋の総資産回転数
総資産回転数 | |
2019年3月期 | 2.6回転 |
2018年3月期 | 2.7回転 |
こちらも前期とではそんなに変わりなく、飲食業の中でも高めの数値といっても良いのではないでしょうか。
大戸屋は新鮮できたてのイメージがある飲食店ですが、その分割高に感じることもあります。しかし、会社にとってはこれが売上の積み上がりとなっています。
大戸屋の場合は、顧客回転率よりも客単価を上げて売上を出すことに注力しているように思えます。
おひとり様でもゆっくりできるように、食後にお茶を出してくれることもありますから、時間があればじゃあデザートも・・・となりやすい気がします。
一方、チェーン回転寿司のくら寿司でも同じような総資産回転数ですが、こちらも場合は客単価は低くても顧客回転率が高いため限られた資産でも売上が充分効率的に挙げられています。

2019年3月期大戸屋HDの収益性分析
収益性分析では、売上高利益率と自己資本利益率(ROE)についてみていきます。

大戸屋の売上高利益率
売上総利益率 | 営業利益率 | 経常利益率 | 当期純利益率 | |
2019年3月期 | 56.8% | 1.6% | 1.8% | 0.3% |
2018年3月期 | 55.9% | 2.4% | 2.5% | 0.9% |
売上総利益までは前期を上回っていたのですが、営業利益以降は下回っておます。
これは2019年2月に発生した不適切動画の影響とも考えられます。
また、特別損失の欄に「FC営業補てん金」が3,900万計上されています。これは、不適切動画案件に伴って店舗を休業したフランチャイズ店に対して支払った売上補填分です。
たった数人によって引き起こされた不適切動画の影響は、少なくても3,900万円以上の損失を大戸屋に引き起こしています。
(全国の売上も加味したら、被害額は更に大きく膨れ上がりますね。)
大戸屋の自己資本利益率
ROE | 売上高利益率 | 総資産回転数 | 財務レバレッジ | |
2019年3月期 | 1.2% | 0.2% | 2.6回転 | 212.2% |
2018年3月期 | 4.4% | 0.8% | 2.7回転 | 199.5% |
やはり売上高利益率が低いことが今期のROEにも大きく影響しています。
2019年3月期大戸屋HDの成長性分析
成長性分析では、純資産伸び率と売上高伸び率を見ていきます。

大戸屋の純資産伸び率
純資産増加率 | |
2019年3月期 | -2.5% |
2018年3月期 | 0.5% |
純資産については、前期よりも減っていますが科目を見ていくと為替換算調整勘定が一番大きく影響しているようです。利益剰余金も減少していますが、為調の影響の方が大きいですね。
大戸屋の売上高伸び率
売上高伸び率 | |
2019年3月期 | -2.0% |
2018年3月期 | 2.5% |
売上高についても、前期よりも減少しています。これについては、決算短信にも記載が有るとおり不適切動画による休業または風評被害による売り上げの低迷が要因であると考えられます。
大戸屋についてまとめ
不適切動画の影響によって、少なくても5,000万以上は機械損失が生じていると考えられます。
たった数人の責任感のない行動によって、企業はこんなにも被害を被ってしまいます。
私自身もよく大戸屋は利用するのですが、このような動画が出回ってしまうと美味しいとわかっていてもやはり行くの控えようかな?大丈夫かな?と心配になってしまいます。
企業が一度失った信頼を取り戻すのには、とても時間がかかることです。
軽はずみな行動は避け、マナーを守った上でのSNSを行って欲しいですね。
それと同時に、来期の大戸屋は挽回していってほしいです。
最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました!
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